日本人乗組員が絶滅危惧種?と思う理由
繋留作業をする乗組員

日本人乗組員が絶滅危惧種?と思う理由

2020年1月13日 23:03
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mr. jun

子供の頃は世界を回る船乗りを夢見ていましたが理数系と意志が弱く早々に断念、一般企業で事務屋をやっていました。 初めてのクルーズは2007年のギリシャ・エーゲ海3泊4日クルーズでしたが、目覚めたのはその6年後、飛鳥Ⅱ「クリスマスワンナイトクルーズ」に乗船してからで、その後は年に数回楽しんでいます。

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前回、日本人乗組員は絶滅危惧種?と偉そうに書いた以上、ある程度の理由を書かないとこのサイトから追放されるかな?と思うので独断と偏見を書かせていただきます。

まず海洋国家と国やマスコミがいう割には我が国で外国航路の船の士官になれる道は結構狭く、東京海洋大学海洋工学部、神戸大学海事科学部、東海大学海洋学部、全国に5校ある国立商船高専のいずれかを卒業するか、海洋系高校や海上技術学校から努力を重ねて海技大学校に進み3級海技士資格を取る道しか一般的にはない筈です。

それじゃ、それらの学校の学生のほとんどが卒業後は船乗りへの道を進むかというと、そうはなっていないのが現状のようです。

特に問題なのは、かつての東京商船大学・神戸商船大学の流れをくむ東京海洋大学や神戸大学の学生でも船乗りを目指さないことだそうで、3級海技士資格を取るのに必要な卒業後の乗船実習(遠洋航海)に行くのは航海コースの学生でも3分の2以下、機関コースだとさらに減って半分以下だと聞いています。

そういう現状ですから大手海運会社でも求人難で、フィリピンでは日本郵船が10年以上前からNYK -TDG MARITIME ACADEMYという商船士官養成の大学を創り、商船三井も一昨年からMOL MAGASAYSAY MARITIME ACADEMYという商船大学を現地法人と共同で創って幹部職員の養成をしているそうです。

また、他の大手海運会社もフィリピンやインドネシア、ベトナム等の商船大学と提携しているようです。

その結果、NYK -TDG MARITIME ACADEMYの卒業生からは日本郵船の1等航海士になった人もいるそうで、彼らが一般商船の船長、機関長になるのは時間の問題の筈です。

そうなると、クルーズ客船では重要な性格の明るさと社交性、英語力では日本人と同等かそれ以上の彼らが、運航部門の幹部として乗船してくる日はそう遠くない将来でしょうから、すでに多くが外国人の甲板部員や機関部員と合わせると運航部門の乗組員の大半が外国人となる日が来るかもしれません。

なんて話しは、有識者でも海運業界の人間でも無い者が訳知り顔でいう事でもないでしょうから止めて、近年乗った日本船で感じたサービス部門の外国人乗組員について書いてみますと、昨今の彼ら彼女らの業務能力はかなり向上してきていて日本人乗組員と差がなくなっているように思います。

特に、昨年乗った日本船のメインダイニングでは、全体を事実上仕切っていたのは古参らしい数名の東南アジア系と思われる外国人スタッフで、何名かいた日本人スタッフは外国人ウェイターを指導するでも客に細かなサービスをするわけでもなく、ただウロウロしているだけのようでした。

その日本人スタッフだけでなく、日本船に乗船している日本人乗組員について私が最も嫌だと思うのは、彼ら彼女らが相手を見て仕事をすること。

はっきり言えば、ヘビーなリピーターと思われる人たちには物凄く丁寧で親切なのに一般的な乗客には結構冷たいこと(真逆で、右も左も分からないような方には非常に親切だったりしますが)。

ある日本船で経験した例を挙げると、ディナーのときはアッパークラス専用のダイニングも朝食のときは誰でもOKというので行ったところ、入口付近にいたフロアマネージャーらしい黒服の日本人スタッフがちょっと迷惑そうな顔をして「おはようございます」も言わずに開口一番「ただいまテーブルを片付けておりますので、そちらの席でお待ちください」と突き放すように言って回れ右。

思わず「この野郎!おはようございます、申し訳ありません、ぐらい言えないのか」と怒鳴りつけたくなりましたが、連れがいたのでグッと我慢。

そして私らが別のウェイターの案内で席に着いたときちょうど入ってきたスイートルームの客らしい老夫婦に、我々には挨拶もしなかった日本人スタッフが満面の笑みを浮かべて「○○様、おはようございます。こちらのお席でよろしいでしょうか」と丁寧なご案内。

もちろん、外国船でも差別というか区別というか、白人と有色人種への、ヘビーなリピーターと一般客への対応には差異があるのですが、国籍が異なる多くの乗客を乗せるのが常識化している外国船のスタッフは愛想は良くないものの、乗客から見えるところでは相手によって態度をコロッと変えるような事はまずしませんし、日本船の外国人スタッフも同じような傾向があると感じています。

そう考えると、顔見知りには親切になるというか甘くなる傾向のある日本人乗組員は日本のクルーズ客船に乗船している間は優秀に見えても国際的な接客レベルから見ると平均的で、実力をつけてきた東南アジア系の外国人スタッフにいずれ取って代わられる日も近いのではないかと私には思えてきます。

コメント

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ms. kana
ms. kana
2020年1月16日 14:28

興味深い記事をありがとうございます! 私は日本船には乗ったことがありませんが、すごく丁寧な接客というイメージがあったのでちょっとビックリです! クルーの賃金というのは基本的には国籍にかかわらず同じ給与体系なのですかね? そうなのであれば、物価の低い国のクルーほど優秀(接客レベルが高い)な人が集まってくるのは必然なのかな?などと勝手に考えてしまいました。

mr. jun
mr. jun
2020年1月16日 21:09

最近は、日本船といってもホテル部門の人たちの大半が東南アジアの方々で、日本人はフロントやコンシェルジュデスクの人たちとダイニング等のマネージャークラスだけになっていますから、どんな場合でも日本語で済むという安心感を除くと日本人ホステスがいる外国船とそう極端に雰囲気が変わるわけではありません。 クルーの賃金は業界の人間では無いのでわかりませんが、外国人同士なら同一職種同一賃金でしょう。 しかし、昨今の人手不足で日本人の多くが以前の季節社員から正社員になっているようなので、同一職種で働いていても外国人とは立場が違って幹部要員でしょうから、給与体系が同じという事にはなっていないと思います。 それでも、これは全くの裏読みですが、日本に来る外国クルーズ船が増えた分、外国人クルーにとっては実務能力がアップして周囲の評価が上がれば、幹部への道が厳しい上に明るい未来が見えない日本船より、実力本位で新船が続々と建造される外国クルーズ船に移れる可能性が高くなり、給与も地位も上がるチャンスだという夢と希望が増しているのではないかと思っています。

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これまで限定的だったCRUISEMANSのブログが私のような一般人でも開設できるとのご案内が有ったので物好きも適当なところで止めようかと思いながらも、素人目線の独断と偏見にも少しは価値が有るかも知れないと開設することにしました。

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