気候変動とクルーズの旅
空からの消火活動

気候変動とクルーズの旅

2022年7月17日 11:11
mr. takeshi_kimiのアイコン

mr. takeshi_kimi

サービス業出身のため、非常に厳しい評価になってしまいます。辛口コメントをお楽しみください。2016年よりPonant リピーターです。船のサイズ感、航路のバリエーションとフランス船ならではのセンスが気に入っています。

プロフィールを見る

夜中の事件簿

今回は東地中海を巡る旅は、ギリシャだけでなくトルコの高級リゾート地、フィトヒエとボドルムの 二都市を予定していたが、直前になりフィトヒエの港湾当局により自船テンダーボートではなく、当局指定のボートを使用しなくてはならないとのお達しで、当局のボートの規模が小さく一回の乗船数が極めて少ない事、使用できる桟橋が非常に狭く車椅子が通るのに支障があるとの理由からマルマリスへ変更となった。クルーズ船には航路変更はつきものであるが、地図で見るとほぼ位置が変わらないため、既に募っていたエクスカーションにも支障はなく問題はないようだ。

マルマリスへ向かう夜、事件は起きた。夜中に部屋が煙たいのだ。まさか携帯から発火?と、部屋を調べてみるが何ともない。 廊下に出ると廊下も煙の臭いが充満していた。バルコニーはすさまじく煙の臭いがする。慌てて部屋と同じ階にあるヘルプデスクに駆け付けると、船からの煙ではなく外からの煙だと言う。寄港地マルマリス付近で山火事が起きたようで、風が強かったためあっという間に火が回ったようだ。昨年もトルコは地中海沿いで同様の火事に見舞われ、一週間以上火は燃え続け、数万ヘクタールにわたり壊滅的な被害を受けている。

バルコニーよりヘリコプターで消火活動が行われるのが見え、緊迫した状況であった。明け方であったため、アナウンス等は行われず、朝食時にキャプテンより、寄港地は安全なので予定変更はない旨説明があった。それにしても、相当部屋が煙たい。夜中に、ほかの乗客から問い合わせがパンクしなかったのだろうかと訝る。この度の被害は3000ヘクタール。放火の可能性も消えてはいないが、気候変動により熱波が起こりやすく乾燥した地域ではその対策が非常に重要となっている。燃料が高騰していることもあり消火活動に莫大な費用を擁すだけでなく、繊細な生態系の破壊による損失は莫大なものとなる。

その日マルマリスの町に出てみたが、煙の臭いを除けば何事もなかったような平常さを保っていた。しかしながら、世界規模で気候変動による弊害が起きている以上、クルーズ船を楽しむ私たち自身も相応の配慮や貢献をしていかなければならない。

シリーズ

SEABOURN_ENCORE

シリーズページを見る
現在 7 本目
客寄せ寄港地_サントリー二島

次の記事

客寄せ寄港地_サントリー二島

関連する乗船レビュー

コメント

まだコメントは投稿されていません。

コメントを投稿する

コメントの投稿にはログインが必要です。

Takeshi & Kimi Blog

このブログについて

Takeshi & Kimi Blog

Takeshi & Kimi Blog

このブログの他の記事

ブログの一覧へ
クルーズ説明会&見学会-1

クルーズ説明会&見学会-1

# 第2回ポナン・クルーズサロン ## 無料のクルーズ説明会に参加して気分を盛り上げよう 8/30、台風直撃の中、第2回ポナン・クルーズサロンに参加してまいりました。 2022年にRitzの客船を予約していたものの、コロナの影響で就航が遅れSeabournに乗船して以来、諸事情によりクルーズともポナンとも

記事を読む
クルーズ船のマーケティング

クルーズ船のマーケティング

# リピーターを増やせ! 乗船した翌日のドレスコードはフォーマルとあり、7泊8日のクルーズでの唯一のフォーマルデイであった。初めてSEABOURNを利用した人は5F のThe Clubに招待され、カクテルとカナッペが供されウェルカムイベントが開催された。 SEABOURNのファミリー感を演出するところが非常

記事を読む
客寄せ寄港地_サントリー二島

客寄せ寄港地_サントリー二島

#エーゲ海を見下ろす断崖絶壁の街 クルーズ船のルートには必ず目玉となる寄港地が盛り込まれている。知名度があり、誰もが一度は行ってみたい、この寄港地がルートに入っているなら是非乗りたい!という気持ちを高ぶらせる寄港地がある。ギリシャではサントリー二島、ミコノス島、コリントス運河横断、そして今では環境への配慮によりク

記事を読む
夕暮れのプールサイド

夕暮れのプールサイド

#アペリティフ タイム 寄港地での観光から帰ると、多くの人はプールサイドで過ごす。サンベッドで夕食前に一眠りしたり、本を読んだり、バーで飲んだり、、、プールの中でグラス片手に知らない人と話をしたり。バーからは頻繁にカクテルが作られパスアラウンドされるので、ついつい手を伸ばしてしまう。そのため、プールサイドのバーで

記事を読む
フォーマル@SEABOURN

フォーマル@SEABOURN

# フォーマルのカタチ 7泊8日のうち、乗船2日目にフォーマルドレスコードの日が一日だけあった。パーティーがあるわけではない。食事前に初めてのSEABOURNということでオブザベーションバーへのご招待が届いていたので、お召かししていく。 クルーズディレクターがそれぞれの担当責任者を紹介、キャプテンの話等をカ

記事を読む
マーケティング 5.0時代 多様化する顧客ニーズ

マーケティング 5.0時代 多様化する顧客ニーズ

# クルーズのサイズ感 以前、ポナンで知り合ったオージーに次はシーボーンを予約していると語ると、『もう、その味を知ったら他の船には戻れなくなる』と言われた。 確かにシーボーンは大型船と比べたらコンパクト(40,000トン、300室)で、レストランの数も多く寿司バーまであり、カジノ、劇場とすべてが揃っている。

記事を読む