客寄せ寄港地_サントリー二島

客寄せ寄港地_サントリー二島

2022年7月22日 00:11
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mr. takeshi_kimi

サービス業出身のため、非常に厳しい評価になってしまいます。辛口コメントをお楽しみください。2016年よりPonant リピーターです。船のサイズ感、航路のバリエーションとフランス船ならではのセンスが気に入っています。

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エーゲ海を見下ろす断崖絶壁の街

クルーズ船のルートには必ず目玉となる寄港地が盛り込まれている。知名度があり、誰もが一度は行ってみたい、この寄港地がルートに入っているなら是非乗りたい!という気持ちを高ぶらせる寄港地がある。ギリシャではサントリー二島、ミコノス島、コリントス運河横断、そして今では環境への配慮によりクルーズ船は立ち寄れなくなってしまったザギントス島が挙げられる。

ロマンチックな青いドームの教会、狭い路地にブーゲンビリアが咲き乱れる白壁の家、洞窟ホテルのプールから断崖絶壁下に広がる紺碧のエーゲ海と、インスタグラマーにとっては最高の映えスポット満載のサントリー二島は空港もあり、滞在型バカンスを選ぶか、クルーズ船で巡るべきなのか、悩ましいところである。まずはクルーズで触りの部分を楽しみ、いつか、滞在するとか、そんな楽しみ方もあるのかなと感じる。

3年前、ポナン船で東地中海を巡った際、夕暮れ時に『右手にサントリー二島がご覧になれます』とのアナウンスと共に、ラウンジからのパノラマツアーで終わってしまった経緯があり、是非、立ち寄りたいと願っていた島だ。崖の上に白い建物と薄明りの中にかすかに青いドームが見えたあの一瞬にときめいた。

待ちに待った旅のメインイベントではあるが、何しろ、フィラの町にあるオールドポートから結構離れた沖停めのため、テンダーボートでの移動に時間を要す。ただでさえ、移動準備に時間がかかり、上陸できたのは10時近くになっていた。その上、他の寄港地に比べて停泊時間も短く、テンダーボートの最終出発は16時半と他の寄港地より圧倒的に滞在時間が短い。

ポートからフィラの町へは、1.ケーブルカー 2.ロバタクシー3.徒歩 という選択肢があるが、迷うことなく1を選ぶ。チケット売り場は行列になっていたものの、比較的スムーズに乗ることができた。フィラの観光は後回しに、青いドーム教会に行くためにバスでイアへと向かう。バスは30分おきに出ており、ガイドブックでは所要時間20分とあるが実際には満席のバスは急なカーブをかなりのスピードを出して40分超かかった。

バカンスでこの島に滞在している観光客に加え、この時間、シーボーンのほかにリージェント、ノルウェージャンとディズニークルーズがおり、その後さらにブルーサファイアが寄港し、この小さな町の路地には観光客が犇めき、お目当てのブルードームのフォトスポットには列ができていた。

洒落た土産物屋を冷やかし、絶景のテラスでのランチは最高のバカンス気分を味わえた。

この島は駆け足で過ごすより、ゆっくり滞在するところなのかなぁと思いながらとにかくあちこち回る。前回ミコノス島を訪れた際にも同じ感想を抱いた。

広々としたテラスで優雅にランチと絶景を楽しみ過ぎたため、慌ててティラへのバス停に行くも、そこはすでに大混雑であった。バスが来るまでに30分、乗車して40分(帰りは疲れて寝てしまったので急カーブのスリリングな走行を楽しめず)、フィラの町に着き、ケーブルカー乗り場に向かえばそこは既に長蛇の列。さぁ、どうしたものか??

そもそもケーブルカーは、往復でチケットを買うことはできない。あらかじめチケットを購入しておくことができない仕組みとなっているため、行列して順番がくるのを待つしか方法はない。徒歩だと20分というので、仕方なく歩いてポートへ向かうことにした。これが、この度一番の過酷な出来事となるとは考えもせずに。。。

普通の状態であれば、歩くのが好きな私であるが、ここサントリー二のオールドポートへの道は別の要素が含まれていた。

町とポートは600段の階段で結ばれているが、多くの人の利用により石が磨かれているため滑るのだ。手すりなど勿論ないし、何よりも過酷だったのはロバさんの糞があちこちに放置されており、その上に転ばないように一歩一歩踏みしめながら降りるのだ。それに加え暑さで噎せ返る臭いにも耐えなくてはならない。

途中、何度も仕事を終えたロバさんの集団に出くわすが、ロバさんは好きな所で立ち往生し、通行人の道をふさいでしまう。通していただくのに勇気と根気が必要だった。あー、憧れのサントリー二での予想外の苦行に、早く船に戻りシャワーを浴びたい、プールサイドでビールが飲みたい、願望を抱えながらひたすら降りるのみであった。

途中、2度ほど滑って転んだ。ギャーっと声を上げる度、周囲の人はロバさんの落とし物上に尻もちついたのではないかと、一斉に好奇の目で振り返る。幸い、最悪な状況は免れるものの、風があるため乾いた落とし物は宙を舞っている。都会生まれの都会育ちは、こうした状況に非常に脆弱である。私みたいな人は余裕をもってケーブルカーに乗れるようにしないと悲惨なことになる。

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